運動失調
運動失調とは、目的の運動に関わる様々な筋肉の動きの協調性が悪くなるため、スムーズに動けない病態を言います。
運動失調の代表的な症状は、起立・歩行時のふらつきです。手の細かな動作も障害され、服のボタンを留めたり、箸を使って食事をするなど、普段は意識せずに行っている動作が円滑にできなくなります。 口唇や舌の動きもぎこちなくなり、飲み込みが悪くなりむせて咳き込みやすく、呂律がまわらず話しにくくなります。
脱力や痺れがなくても、急にこのような症状が生じた場合は病院を受診してください。
運動失調は障害される部位によって以下のように分類されます。
≪小脳性運動失調≫
運動のバランスを司る小脳が障害されることで起こります。酔っ払ったようなふらふらした歩き方や、企図振戦と呼ばれる目的の動作を行う際の震えなどが特徴です。
小脳梗塞・出血・腫瘍や脊髄小脳変性症など、運動のコントロールの中心的な役割を果たす小脳が障害されることで出現し、運動失調のなかで最も頻度が高いです。
≪脊髄性運動失調≫
脊髄の障害が原因で起こります。特に下肢の動きが不安定になり、目を閉じるとさらにふらつきが増します。歩行時には、足元をみながら足を開いてパタパタと踵を踏みながら歩行することが特徴です。
代表的な疾患として脊髄腫瘍、変形性頸椎症、脊髄空洞症、多発性硬化症、末梢神経疾患などがあります。
≪大脳性運動失調≫
大脳の障害が原因で起こり、小脳性運動失調と似た症状が現れることがあります。
頻度はまれで前頭葉を中心とした脳外傷や脳腫瘍が原因の疾患として挙げられます。
≪前庭性(迷路性)運動失調≫
平衡感覚を司る器官が障害されることで起こります。めまいを感じたり、ふらふらして歩くことが特徴です。
主に前庭神経障害(前庭神経炎、メニエール病など)や中枢神経障害(多発硬化症、脳幹梗塞・腫瘍など)が原因としてあげられます。